第166回芥川賞が文藝春秋2022年3月号に掲載された。群像に発表された砂川文次さんの「ブラックボックス」。


バイクを使ったメッセンジャーの日常と結果としての刑務所での生活が描かれている。読みやすくスーと入っていく感じがした。スマホを自由に使いこなすのが当たり前のメッセンジャー生活と隔離された刑務所での生活、サクマにとっては両方とも現実なのだが。刑務所を出たらサクマはどんな生活をするのだろうか、と考えてしまった。


日ごろ、バイク便の自転車は信号無視ぎりぎりで速度早く我が物顔に道路を闊歩し、危険極まりないと歩行者目線で感じていた。そのため、サクマの日常をもっともだと思う反面、長く続ける職業なのだろうかと疑問を持つ。しかし、最近の報道では出前館などでは人手が足らず、定着させるためにあの手この手の策を講じているとのこと。貴重な戦力をどのようにして確保するのか経営者が考える時代になっても、サクマのような葛藤を持ちながら一途の若者にもいてほしい。暴力は困るが。年を取って一途に走る気持ちに陰りの見えた老人より・・?