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芥川賞13 「この世の喜びよ」 [芥川賞]

 第168回芥川賞が文藝春秋2023年3月号に掲載された。群像に発表された井戸川射子さんの「この世の喜びよ」。

 主人公を「あなた」と表現していたが、なるほどっ、と思っただけで、読んでいて違和感はなかった。ショッピングセンターを中心とした日常生活、人間模様が描かれていている。

 文藝春秋を購入して芥川賞を読むとき、選評から読むか、受賞作から読むか、いつも考えてしまう。今回はとりあえず選評からにした。不思議なもので選評を読んでしまうと、主人公を二人称的な表現で記載されていることを前提として読みだしてしまう。知らずに作品を読むと、あれっ、との感激から入るのだろうが残念ながら大きな感動がなかった。

 作品の内容ではなく、入口での話になったが、芥川賞をどのような読み方をするか、みなさんは。

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芥川賞12 「ブラックボックス」 [芥川賞]

 第166回芥川賞が文藝春秋2022年3月号に掲載された。群像に発表された砂川文次さんの「ブラックボックス」。


バイクを使ったメッセンジャーの日常と結果としての刑務所での生活が描かれている。読みやすくスーと入っていく感じがした。スマホを自由に使いこなすのが当たり前のメッセンジャー生活と隔離された刑務所での生活、サクマにとっては両方とも現実なのだが。刑務所を出たらサクマはどんな生活をするのだろうか、と考えてしまった。


日ごろ、バイク便の自転車は信号無視ぎりぎりで速度早く我が物顔に道路を闊歩し、危険極まりないと歩行者目線で感じていた。そのため、サクマの日常をもっともだと思う反面、長く続ける職業なのだろうかと疑問を持つ。しかし、最近の報道では出前館などでは人手が足らず、定着させるためにあの手この手の策を講じているとのこと。貴重な戦力をどのようにして確保するのか経営者が考える時代になっても、サクマのような葛藤を持ちながら一途の若者にもいてほしい。暴力は困るが。年を取って一途に走る気持ちに陰りの見えた老人より・・?



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芥川賞11 「首里の馬」 [芥川賞]

第163回芥川賞が文藝春秋2020年9月号に掲載された。新潮に発表された高山羽根子さんの「首里の馬」と、文藝夏季号に発表された遠野遥さんの「破局」の2作。今回は「首里の馬」を取り上げたい。

沖縄を舞台に、未名子の行動が記載されているのだが、読んでいてくたびれる、との印象をぬぐえなかった。SDカードやスマートフォンなどについては、説明もなく当たり前の物として使用されるのだが、カセットテープに関しては、あまりにも古いデータの記録再生媒体のためか「カセットテープ用のプレーヤー」について詳しい説明がされている。

「・・デジタル表示の下には右側に多数の小さな穴が規則的な間隔で開いていた。たぶんこれはスピーカーだろうと未名子は思う。もう片方にある薄いグレーのプラスチック窓は、適当に押したいくつめかのボタンで、上部が傾くようにして開いた。そこまでは想像どおりだったけれど、意外なことに中にはすでに、なにかが入っている。資料館にあったものと同じ、プラスチックでできた薄い直方体の、細かい部品が組みあげられた軽い塊だった。中に入っていたカセットテープを引き出してテーブルの端に置く。やっぱりこれはカセットテープ用のプレーヤーだ、と未名子は確信する。・・」

素晴らしい描写なのだが、ある年代以上の私にとってはカセットテープやそのプレーヤーについても、当たり前の道具として扱ってほしかった。一つの物の形状動作などをいろんな方向から克明に文字として表現するのは、読んでいて楽しいのだが、私の年代からは、よりにもよってカセットテープ用のプレーヤーかよ、と言いたくなる。ある意味キーになる物のため、あえてしつこめに記載してみました、とでも解釈しておこう。

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芥川賞10 推し、燃ゆ [芥川賞]

 第164回芥川賞が文藝春秋2021年3月号に掲載された。文藝秋季号に発表された、宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」。残念ながら内容にはついていけなかった。「太陽の季節」や「限りなく透明に近いブルー」は違和感なく入ってきたのだが。アナログ世代にとって現実から簡単に想像できると自分に重ねることもできるのだが。小説最後の部分で、現実に引き戻されて、読み終えた、としたものの内容にはついていけなかった。現代の推し、が理解しづらいためとは思うが、年代の違いも大きいかもしれない。そんな点では同年代の松浦寿輝さんの選評に近いのだが。

 手の中で自由に操作して情報のやりとりができる時代がくれば便利だと感じていたが、それが現実になると追随できなくなってしまった。

 ひとつひとつの表現や流れには違和感なくついていけるのだが全体が理解しきれず終わってしまった、残念。


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芥川賞8 背高泡立草 [芥川賞]

 第162回芥川賞が文藝春秋2020年3月号に発表された。すばる10月号に発表された古川真人さんの「背高泡立草」だ。現代を背景としている小説らしく携帯電話が出てくる。

 「すぐさま携帯電話を持って風呂場に向かい音楽を流しながら掃除に取り掛かるのだった。」「ラインで見せたっけ」「携帯電話で「セイタカアワダチソウ」と打ち、サイトや画像を検索した。」など、実際はスマホが使われているような描写が見られる。

 気になったので商標権を調べたが、さすがに携帯電話、スマホ、スマートフォン、ラインともに日本では一般名称での商標登録はされていなかった。アルファベット表記を図形化したものや、携快電話というのは見つかったが。最近は、気に入った表現のつもりで気軽に使用したくても商標権や著作権を考慮しなければならないので、小説など文章を書くのも大変だろう。文末に注記するのだろうが、いちいちⓇマークやTMやⒸマークを記載するとなると興ざめしてしまう。

 さて小説に戻ろう。流れで一気に読み切る雰囲気ではなく、何度かに分けて読んだ。なんだかわからないが、最後に島で草を刈る光景だけが残った小説だった。

タグ:商標 芥川賞
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