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夏樹静子3 蒸発2テレタイプ [夏樹静子]

夏樹静子さんの「蒸発」は1972年カッパノベルスで発行された。この中では「・・通信衛星経由ではいってくるニュースのテレタイプをまずボーイが抵当な長さにちぎってデスクにとどける。・・テレタイプのカチカチという機械音だけが途絶えることなく響いている・・」と、情報の連絡手段としてテレタイプが登場する。

テレタイプは1910年代に開発され、1928年テレタイプ社の設立により一般化した名称で、1931年の米国ATT社のサービスによりテレックスと呼ばれるようになった。送信側のタイプで印字した内容がそのまま受信でき、文字情報を瞬時に伝達できる画期的な情報伝達手段だった。

このテレタイプは夏樹さん以外の西村京太郎さんや山村美沙さんの作品にも同時代に、初めて登場する。西村作品では、1971年カッパノベルスで発表された「ある朝海に」で「・・部屋の隅にあるテレタイプが乾いた音を立て始めた。ハンセンは椅子から立ち上がってタイプされていく文字を読んだ・・」との記載がある。また山村作品では、テレックスとしての表現があり、1971年6月に小説サンデー毎日に掲載された「死体はクーラーが好き」に「・・刻々と市況が超短波ではいり、テレックスが文字を刻む・・」との記述がある。

残念なことに、テレタイプはコンピュータの発達とともにその役目を終えていくことになる。1970年代に、紙テープとパンチ機を備えた端末を利用してミニコンでデータ処理をしていたことを、懐かしく思い出した。

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