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古書 [推理小説]

 古書店を営む傍ら文筆生活を行っている出久根達郎さんの「あったとさ」(文春文庫)を読んでみた。実際に古書店を営む人の記述のため、なるほどこのようにして古書の発掘などをしているのか、と興味をもった。この中の1993年9月号オール読物「あったとさ」などは楽しく読めた。さらに古書店繋がりで紀田順一郎さんの小説に。古書店を舞台とする推理小説を書いているが、1999年「第三閲覧室」を読んだ。本を保管している図書室の燻蒸処理を利用した殺人事件で燻蒸処理中の部屋に閉じ込められて死亡する。本についた虫などを駆除するのだから当然人間にも害のある薬剤を使用する。調べると今では人間にやさしい薬剤も開発されているとのこと。昭和初期の古書を、印刷、活字、紙、材料、綴じ糸、ニカワなどを探して再現偽造する中での殺人事件だ。当然本の知識がないとできないもので、古書を知っている紀田さんならではだろう。古書より古本、古書店より古本屋の表現のほうがしっくりくるのだが、どうしても安物汚いとのイメージあるようだ。

 本については、本の表紙を製造する会社に勤めていたこともあって、関連する話を聞いたことがある。本1冊を作るにしてもかなり大変な作業を伴う。本の装幀に関連しては「つつんで、ひらいて」(広瀬奈々子監督2019年)という映画もあるため興味があれば見ると面白い。古書の思い出としては、祖父が1920年に翻訳した書籍があったのだが、国会図書館に蔵書としての記載はあるものの現物がない。以前は結構このような書籍があったとのこと。どうしても見つからずネットで検索したことがあった。一冊見つかり、数か月後にもう一冊でてきたので計2冊を手に入れることができた。便利な時代になったものだ。1冊は国会図書館に納本して1冊は自宅に保管した。話では1-2年でデジタル化されるだろうとのことだったが5年たってやっとデジタル化された。傷みやすい本などから優先的に処理するとのことなので時間が掛かるのは仕方ないと思っている。国会図書館限定でのデジタル閲覧だが、とにかく誰にでも見られる状態にしただけでも良かったと安堵している。暫く紀田順一郎さんの本も読んでいきたい。

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