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森村誠一 「新幹線殺人事件」 [推理小説]

 森村さんと言えば角川映画「人間の証明」が浮かぶが、「新幹線殺人事件」60万部販売とのこと。森村さんの公式サイトによれば、1969年「高層の死角」で第15回江戸川乱歩賞を受賞したものの、鳴かず飛ばず状態のときにカッパノベルスから話しがあって執筆し、結果1970年に出版された。

 今、2025年の大阪万博が何かと話題になっているが、この推理小説では前の大阪万博のプロデュースや当時の芸能界事情を絡めた事件が題材になっている。時代背景を得たもので、販売数が伸びたのもうなずける。人類の進歩と調和、奇抜な形状のパビリオンや無線電話の実演や動く歩道や太陽の塔や月の石など、見に行ったのを覚えている。今回の万博をめぐっても激しいプロダクションによるプロデュース競争があるのだろうか。

 小説の中では新幹線からかけた電話のアリバイをどのようにつぶすかがカギになっている。今では携帯電話があるため電車の中から個人が誰にでも簡単に電話をかけられる。しかし、当時は東海道新幹線から電話をかけるには、乗務員に申し込んで電話をかけてつないでもらう必要があった。公衆電話と言ってもダイヤルがある訳ではなく、お金を入れれば簡単に電話をかけられるわけではなかった。またかけられる場所も限定され、東京、横浜、名古屋、京都、大阪に限られていた。当時東京三多摩地区に電話を頼もうとしたら、東京で電話ができるのは03局番の地域だけです、と言われた覚えがある。また、新幹線に乗っていると電話の呼び出し放送があったのも覚えている。現在は、コインやカードの公衆電話も廃止されている。時代はどんどん変化している。1970年の大阪万博で無線電話を見て驚いた時は新幹線からの電話は乗務員につないでもらっていた、隔世の感がある。

 小説では、殺人事件とトリックを楽しんだ。昔、カッパブックスを買うと一気に読んだのを思い出してしまった。

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