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 [松本清張]

 スマホで映画「影なき声」を見た。1958年製作で当時の東京多摩地区の様子が分かる。第二次大戦後(1945年)の日本の街を見た中の1作だ。新聞社の電話交換手をしていた主人公が強盗犯の声を聴いてしまう。犯人は見つからなかったが、主人公の夫が強盗犯の殺人者と疑われる。結果は夫が殺人犯ではないとしてハッピーエンドで終了する。松本作品のため原作にも触れたいと読んでみた(初出典「小説公園」1956年11月号)。ところが映画とは展開が違っていた。小説では、強盗犯の声を聴いた主人公が殺されてしまう。推理小説ではそこから推理が発展していっても問題ないのだが、映画としては気に入らなかったのだろう。原作と映画で大きく脚本されることはあるが、先に映画をみてからだとあれっとなった。小説では東京都北多摩郡田無町、北多摩郡小平町、西武線、高田馬場、中央線武蔵境などが出てくる。松本先生いやに詳しいと思ったら、松本清張短編全集5(カッパノベルス光文社刊1964年発刊)のあとがきに、当時練馬区関町の借家に住んでいた、や、朝日新聞社時代にベテランの交換手がいたから思いついた、などを披露されていた。電話の交換手は現在では死語かもしれない。過去の小説を現在の若者はどんなイメージで眺めるのだろう。

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