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山村美沙25「ろうそく2」 [コラム]

 テレビドラマ「赤い霊柩車」の冒頭で使用されているろうそくは和ろうそく。炎がポッポッポッと動くのが特徴で芯も太い。普通ろうそくと言えば一本の糸のような芯がありそれに火をつける洋ろうそく。和ろうそくは製法、特に芯部分の作り方が違う。和ろうそくでは最初に竹串などの棒のまわりに和紙などの繊維を巻き、ハゼなどからとった木蝋などを付けていってろうそくの形状とする。その後竹串状の棒を抜く。芯の中に空洞ができる。燃やすと空気がろうそくの下から上に向かって動くため炎が動く。さらに炎が大きく消えにくい。一方洋ろうそくは、糸状の芯のまわりにロウがついているだけのため、炎は動きにくい。和ろうそく、洋ろうそくの作り方の違いはwebで調べてもらえればわかる。

 さてろうそく繋がりで、「ロウソクの科学」という書物をご存知だろうか。ファラデーが英国の王立研究所の所長のときに行ったクリスマス講演で、1860年に6回にわたって講演した内容、それを書物にしたものだ。原書の内容を補ない解説までつけた、竹内敬人さん翻訳の岩波文庫版は、わかりやすい。この中に和ろうそく用のロウに関する記述がある。第1講に「・・また、これは私たちが開国をうながした、はるか遠くの異国、日本からもたらされた物質です。これは一種のワックスで親切な友達が送ってくださったものです。これもロウソク製造用の新しい材料ですね。・・」と。また、芯部分が中空になっている和ろうそくに関しての話もある。第6講に「・・この日本のロウソクは、フランスのロウソクに比べて、はるかにりっぱに飾りたてられています。・・このロウソクは驚くべき特性を備えています。すなわち中空の芯で、この見事な特性は、アルガンがランプに採用して価値を高めたものです。・・」と。アルガンのランプとは、オイルランプに十分な空気を送って煙の発生を防ぐもので、和ろうそくは中空の芯で空気の流れを作っている、と感心しているものです。ヨーロッパで一般的な洋ろうそくに比べ、空気の流れを作り大きな炎で明るくした和ろうそくは、当時の英国でも驚きを持って見られていたのでしょう。日本の伝統製法による和ろうそくは優れものです。

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