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南原詠 「ストロベリー戦争 弁理士 大鳳未来」 [小説]

 「特許やぶりの女王」の続編ではないだろうが、商標権を中心にした紛争を扱った小説だ。特許を主題材としたものと違い、商品や役務の名称という商標権を扱った内容のため多くの読者にもなじみやすかったのでは。イチゴの名称に「絆姫」と名付けて販売しようとしたら先に商標登録した会社から通知書(警告書)の送付を受けて、事件が展開していく。最後のどんでん返しは、なるほどこの手を使ったかと驚いた。以前、知財関係の仕事をしていた時、商標権の勉強の中で、後発的不登録理由により商標権を取り消す、などあったらふざけるなと言いたい、と思っていたらそれを使っていた。せっかくある商品名で商標権の登録をしたのに、後からおんなじ名前での市町村を作りました、となったら前に商標権を取得していても商標権が取り消される。よほどのことがないとなかなかないとは思うが、可能性はゼロではない。本書も「特許やぶりの女王」と同様に商標ってなんだ、という方にも面白いのでは。

グーグルやヤフー等が配信するニュースの著作権料に金額差があることが問題になっていることや、音楽や文章を引用するにあたっての著作権侵害については世間でも騒がれるため馴染みがあるだろうが、特許とか商標とか意匠とか名前は聞いたことがあってもなかなか身近に感じられないのが実態かもしれない。

タグ:南原詠
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