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南原詠 「特許やぶりの女王 弁理士 大鳳未来」 [小説]

 「第20回このミステリーがすごい!」大賞(2021年宝島社)を受賞した作品だ。原題は「バーチャリティ・フォール」で2022年単行本出版にあたって加筆修正されたものを読んだ。この大賞には400篇以上の作品が応募され、最終候補8篇の中から選ばれた。特許など知的財産に関する内容のため法律用語などが難しいなどの評もあったようだ。弁理士の南原さんならではの作品だ。バーチャルリアリティーに関連した特許の専用実施権とそれにまつわる内容を、女性弁理士を中心にして描いている。特許を中心とした知的財産にかかわる問題を企業間の紛争事例で解説している。企業間ミステリーというより知的財産の解説入門書の物語として読むほうがいいのでは。自分が特許など知的財産に関連する部門にいたこともあり、特許等の表現、専用実施権、警告書、損害賠償、など楽しく読んだ。弁理士は、特許、意匠、商標などの特許庁への出願権利化や知的財産の裁判での紛争解決処理など、技術に関する専門職で、各種紛争解決を行う弁護士とは違った役回りだ。以前、公的機関に行ったとき電話で弁理士を説明しているのを聞いた。便利屋の便利士ではない、便利ではなくて弁護士の弁、理科の理、武士の士、で弁理士と書くと説明していたのを思い出した。

最近のドラマ「それってパクリじゃないですか」や「下町ロケット」などの小説で弁理士の名称や仕事がだんだん理解されるようにはなってきた。

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