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芥川賞15 「東京都同情塔」 [小説]

 この作品は第170回芥川賞受賞作で、作者は九段理江さん。芥川賞候補2度目での受賞。受賞者インタビューの記載では各種受賞の待ち会は今回で7回目だったとのこと。文藝春秋2024年3月号で選評や受賞者インタビューとともに読んだ。実は新潮の2023年12月号で読んだのだが、頭に入ってこなかった。東京都同情塔とはどんな建物の事を言っているのだろうと思ったら、刑務塔とか新形態刑事施設とかシンパシータワートウキョーとかバベルの塔の再現とかいろんな名称で呼ばれていた。ザハ・ハデットの新国立競技場も出て話が展開していく。さらに文章構築AIを利用。タワーについては、日本電波塔が東京タワーに決まったが応募数13位であったがある審査員の鶴の一声で決定したことや、「・・・民主主義に未来を予測する力はない。未来を見ることはできない。・・・」などの記載も。何度か読み直してみるが、すんなり理解ができない。作品に、その時代での新しい若者の生き方や世相などがあれば、そんな考えや行動があっても、それもありだなと納得し、今までの芥川賞の受賞作では違和感を感じる作品でも、なるほどな、と解ったような顔をした。今回の作品、切り口がなんか違うぞ、と感じるのだがすんなりと入って来ない。頭が固くなってしまっているのかもしれない。時間を置いて読み直してみたい。

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芥川賞15 「東京都同情塔」 [小説]

 この作品は第170回芥川賞受賞作で、作者は九段理江さん。芥川賞候補2度目での受賞。受賞者インタビューの記載では各種受賞の待ち会は今回で7回目だったとのこと。文藝春秋2024年3月号で選評や受賞者インタビューとともに読んだ。実は新潮の2023年12月号で読んだのだが、頭に入ってこなかった。東京都同情塔とはどんな建物の事を言っているのだろうと思ったら、刑務塔とか新形態刑事施設とかシンパシータワートウキョーとかバベルの塔の再現とかいろんな名称で呼ばれていた。ザハ・ハデットの新国立競技場も出て話が展開していく。さらに文章構築AIを利用。タワーについては、日本電波塔が東京タワーに決まったが応募数13位であったがある審査員の鶴の一声で決定したことや、「・・・民主主義に未来を予測する力はない。未来を見ることはできない。・・・」などの記載も。何度か読み直してみるが、すんなり理解ができない。作品に、その時代での新しい若者の生き方や世相などがあれば、そんな考えや行動があっても、それもありだなと納得し、今までの芥川賞の受賞作では違和感を感じる作品でも、なるほどな、と解ったような顔をした。今回の作品、切り口がなんか違うぞ、と感じるのだがすんなりと入って来ない。頭が固くなってしまっているのかもしれない。時間を置いて読み直してみたい。

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松本清張 「顔」 [小説]

 テレビ朝日開局65周年記念のドラマとして2024年1月3日に松本清張原作の「顔」が放送された。後藤久美子30年ぶりドラマと武井咲との初共演で見ていた人もあると思う。原作はどうだったかと、読み直してみた。1956年に発表されたため当然時代背景違うのだが、ストーリーもなんだか違うと思ったのだがやはり相違点も見られた。大きな違いは犯人がドラマでは女性だが、小説では男性。目撃者と出会っても犯人だとわかっていなさそうなので、大胆に顔出しをしたのだが、目撃者が、映像を見て犯人の顔を思い出す設定は同じだ。原作では夜行急行げんかいで九州から京都に行くや、為替で旅費を送るなど、今とは違った昭和30年代が出てくる。また、京都での昼食に「いもぼう」が出てくる。海老芋と棒鱈を使用した煮物で、今でも円山公園近くに専門店が何軒かある。昔京都に住んでいたため懐かしくて昨年何十年ぶりかに食べに行った。まさか今回の小説の中に出てくるとは思わなかった。

松本清張は自作解説のなかで、何の学歴も無い若者が世に出るには映画俳優やタレントなどで、それを題材とした。松本清張にとって最初に書いた推理小説的作品で「顔」を含む短編集が、江戸川乱歩が会長をしていた日本探偵作家クラブから、探偵作家クラブ賞を贈られたと、記載している。松本清張にとっては感慨深い一遍なのだろう。

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南原詠 「ストロベリー戦争 弁理士 大鳳未来」 [小説]

 「特許やぶりの女王」の続編ではないだろうが、商標権を中心にした紛争を扱った小説だ。特許を主題材としたものと違い、商品や役務の名称という商標権を扱った内容のため多くの読者にもなじみやすかったのでは。イチゴの名称に「絆姫」と名付けて販売しようとしたら先に商標登録した会社から通知書(警告書)の送付を受けて、事件が展開していく。最後のどんでん返しは、なるほどこの手を使ったかと驚いた。以前、知財関係の仕事をしていた時、商標権の勉強の中で、後発的不登録理由により商標権を取り消す、などあったらふざけるなと言いたい、と思っていたらそれを使っていた。せっかくある商品名で商標権の登録をしたのに、後からおんなじ名前での市町村を作りました、となったら前に商標権を取得していても商標権が取り消される。よほどのことがないとなかなかないとは思うが、可能性はゼロではない。本書も「特許やぶりの女王」と同様に商標ってなんだ、という方にも面白いのでは。

グーグルやヤフー等が配信するニュースの著作権料に金額差があることが問題になっていることや、音楽や文章を引用するにあたっての著作権侵害については世間でも騒がれるため馴染みがあるだろうが、特許とか商標とか意匠とか名前は聞いたことがあってもなかなか身近に感じられないのが実態かもしれない。

タグ:南原詠
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南原詠 「特許やぶりの女王 弁理士 大鳳未来」 [小説]

 「第20回このミステリーがすごい!」大賞(2021年宝島社)を受賞した作品だ。原題は「バーチャリティ・フォール」で2022年単行本出版にあたって加筆修正されたものを読んだ。この大賞には400篇以上の作品が応募され、最終候補8篇の中から選ばれた。特許など知的財産に関する内容のため法律用語などが難しいなどの評もあったようだ。弁理士の南原さんならではの作品だ。バーチャルリアリティーに関連した特許の専用実施権とそれにまつわる内容を、女性弁理士を中心にして描いている。特許を中心とした知的財産にかかわる問題を企業間の紛争事例で解説している。企業間ミステリーというより知的財産の解説入門書の物語として読むほうがいいのでは。自分が特許など知的財産に関連する部門にいたこともあり、特許等の表現、専用実施権、警告書、損害賠償、など楽しく読んだ。弁理士は、特許、意匠、商標などの特許庁への出願権利化や知的財産の裁判での紛争解決処理など、技術に関する専門職で、各種紛争解決を行う弁護士とは違った役回りだ。以前、公的機関に行ったとき電話で弁理士を説明しているのを聞いた。便利屋の便利士ではない、便利ではなくて弁護士の弁、理科の理、武士の士、で弁理士と書くと説明していたのを思い出した。

最近のドラマ「それってパクリじゃないですか」や「下町ロケット」などの小説で弁理士の名称や仕事がだんだん理解されるようにはなってきた。

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