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芥川賞6 送り火 [芥川賞]

 第159回芥川賞が発表され文藝春秋9月号に掲載された。高橋弘希さんの「送り火」。芥川賞選評では別の候補作についての盗作関連の記載もあったが、高橋さんの内容が好評との印象を受けた。

 文章も読みやすくどんどん読んでいった。何十年も前の東京から田舎への中学転校生の話と、頭に入っていったのだが、「・・深田恭子はめんこいと思う・・」との表現が出てきて、最近の時代背景なのだと、我に返った。読んでいて違和感が全くなかったのでそれだけ文章としては優れていただろうか。いじめの話がどう展開していくのかと思っていたら最後は思ったものとは違って、僕がターゲットであり都会と田舎の中学生、転校生、余韻を残した残り火のタイトル。他の作品も読んでみたい衝動にかられた小説だった。

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芥川賞5 コンビニ人間2 [芥川賞]

 次回の芥川賞が発表されたが、今回も村田沙耶香さんについて。

 村田沙耶香さんは「コンビニ人間」で芥川賞を受賞しているが、それ以前にも注目すべき作品を発表している。そのもとが小学生時代にあるらしい。「文学界」2016年9月号に[小説という教会]というエッセイに記載されている。その中に小学6年生頃にワープロを手に入れた旨の記載がある。「インクリボンで自分の文章を印刷すると、手書きのときには分からなかった、言葉そのものの手触りを知ることが出来る気がした。プロの人々は皆、自分の字を明朝体にするために小説家になるものだと勘違いしていたので、「ワープロが普及したらこれから小説家になる人はいなくなってしまうのではないか」と的外れな心配をした。」との記述がある。

 私も初めてワープロを購入した時、自分の文章が活字になると単なる報告書から全ての人にプレゼンできる報告書を作成出来た、などと勝手な解釈をしていたことを思い出した。自分の書いた文章が活字になるとは、直筆とは全く違った感覚を文章に与えるものだと感じた。

 村田沙耶香さんが小学校6年生の頃はおよそ1990年から1991年だろう。その当時のワープロは、液晶を搭載したラップトップ型で3行印字が可能など、進化した時代であった。東芝のRupoやシャープの書院などを聞かれた方もあるだろう。まだパソコンでのワードや一太郎が普及する前で、半年に1回、各社が新機種を発売し、ワープロ専用機最後の全盛期であった。

 [小説という教会]というタイトル、読み終わってなるほどと納得した。
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芥川賞4 コンビニ人間1 [芥川賞]

 次の芥川賞と直木賞の候補作が発表され、新たな受賞レースが進行しているが、今回は「コンビニ人間」を取り上げたい。

 第155回の芥川賞は村田沙耶香さんの「コンビニ人間」。発表後各種メディアでも取り上げられ、村田沙耶香さんのマスコミへの露出度も増えている。私は引き込まれ、コンビニとそこで働く人間、そこにくる人間等の様子を、「私」を通してうまく表現されている、と感心した。文藝春秋では発表作と同時に選考委員の先生による、芥川賞選評が記載されている。発表された文藝春秋2016年9月号では、村上龍先生が、「私事で恐縮だが、わたしがMCを務めるTVの経済番組では、・・。・・だから「コンビニ人間」という作品には驚いた。・・」との記載がある。「限りなく透明に近いブルー」で衝撃的な芥川賞デビューした村上龍先生だが、このような方でも驚きを感じられる作品であるのだろう。

 文藝春秋社から発刊されている「芥川賞・直木賞150回全記録」には第75回芥川賞を受賞した村上龍先生について、熱狂おしよせる選考会として、当時の選考での評価が記載されている。改めてその作品を読みなおしてみると、講談社文庫版で、今井裕康さんが解説されているように、私自身も横田基地に関する描写など、その時代を共にした人間として新鮮に感じたのを思い出した。村田沙耶香さんもそのような逸材として、期待をしたい。
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