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西村京太郎と電送 [西村京太郎]

 西村作品では、十津川警部を中心とする推理小説が多いだけに、犯人逮捕にあたって、指紋や顔写真が逮捕の決め手となる。その情報の通信手段として、写真電送が多く利用されている。
 日本では、1928年京都で行われる昭和天皇の即位の儀にあたって、その写真を東京の新聞の紙面に号外として飾りたい。そのため是が非でも瞬時に写真を京都から東京に伝達したい。朝日新聞と大阪毎日新聞の戦いの末、日本電気の技術による大阪毎日新聞に軍配が上がった。その技術の仕組みはともかく、新しい技術の革新には、大きな目的が重要なのではなかろうか。やっぱり、「世界で一番」は、技術革新の動機づけにはなるのでは。
 電送とファクシミリとはどのようにして、線引きをすればいいか難しいが、西村作品では両者が利用されている。「電送」は、1969年の「21世紀のブルース」に最初に登場する。その後、1971年実業之日本社で発表された「殺しの双曲線」で「・・ニセ田島信夫の指紋を県警の方から電送してもらった・・」との記載があり、指紋の確認に写真電送の技術が利用されている。1980年以降は電送の表現で多用され、60編以上の小説に登場する。犯人逮捕の手がかりとして電送は、切り離せない存在なのだろう。ファクシミリが1972年に電話機網に利用可能になるまでは、新聞ニュースや警察や国鉄や電報業務や気象図などに用途が限定されていたため、電送の表現の方が警察の利用だとのイメージが強く、表現としてもすぐれているように感じる。2007年に問題小説に逃亡海峡として連載された、「門司・下関逃亡海峡」でも「・・二人の顔写真は電送しますから・・」との表現がされている。電送は西村小説では事件解決に必要なキーワードの一つになっている。

タグ:電送
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