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西村京太郎と商品名 壱 [西村京太郎]

  西村作品を読んでいると色々な商品の名前が登場する。例えばセロテープ。そういえばニチバンという会社がそんな名前でテープを出しているのでは、と気になりだした。どこかの会社の商品名、どうすればそれを調べられるのだろうか。あちこち探した結果、特許電子図書館という商品名(商標)を調べられるサイトを見つけた。今回は、何気に小説の中で使われる単語に焦点を当ててみたい。
  まずは「セロテープ」。1986年4月小説現代に掲載された「裏切りの中央本線」には「壁の上の方に小さな紙がセロテープで貼り付けてあるのが気にいった。・・」、1986年8月小説現代の「マスカットの証言」では、「・・扉にはセロテープで貼り付けてあった。」と違和感なく記載されている。セロテープはニチバン株式会社の1959年からの登録商標546229号で一般名称としてはセロハンテープと言う。思わずセロテープと書いてしまいそうだが、注意しないと勝手に商品名を使うなと言われてしまうかもしれない。
  「タイプライター」。今でこそパソコンのソフトで用が足りるためタイプライターを使う事も少なくなったが、電気もなく手軽に文字を打てる英文タイプライターはやはり便利に思う。1963年読切傑作集掲載「バイヤー殺人事件」に「・・机の上のタイプライターに手紙が途中まで打ちかけてあった。・・」、1967年講談社刊の「太陽と砂」では「・・アメリカ人のエディがロビーへタイプライターを持ちだしていたわけが呑み込めた。・・」と記載されている。当然本来の使い方に対応した商標登録と思ったら、セイコーホールディングスが時計を対象にして2011年10月に商標登録出願をしている。
  「タイピスト」。1963年読切特撰集掲載「私は狙われている」に「・・会社のタイピストをしている松山弘子という女と・・」「・・タイプ印刷された数ページの報告書に眼を通した。」と記載され、和文タイプのタイピストであることが推定される。1964年傑作倶楽部掲載「殺意の季節」に「・・尾行のメモを整理するとそれをタイピストに渡してから部屋をでた。・・」、1971年実業之日本社掲載「殺しの双曲線」に「京子は東京八重洲口にある鉄鋼会社のタイピストである。」などの記載がある。タイピストとはタイプを打つ人とのイメージだが、この意味ではあまりにも有名で一般化しているためか、個人が洋服やネクタイなどを対象にして2007年12月に商標登録している。ネクタイやネクタイピンをイメージするとうなずける名称か。
  「テレタイプ」。1971年発表の「ある朝海に」に「・・部屋の隅にあるテレタイプが乾いた音を立て始めた。・・」との記載があり、その他1978年発表の「炎の墓標」などに登場する。当然商標登録されているものと思ったが、あまりにも有名で一般に使用される名称のためであろう、登録されていなかった。
  「コピー」。1971年推理ストーリー掲載「私を殺さないで」に「・・警察にもコピーが送られたが・・」、1978年発表「炎の墓標」に「・・写真は手に入った。急がせれば30分で4-50枚のコピーはできる。・・」、1999-2000年に関西ウォーカーに掲載された「十津川警部裏切り」に「・・近くのコンビニへ行って2枚の写真をコピーして来てくれた。・・」などコピーの表現は文字や写真などを複写する手段として一般に使用されている。さすがに複写に関連した商標登録はないが、1992年にオカモト株式会社が塩化ビニル製フィルムなど対象にして登録している。
  「ゼロックス」。1973年サンケイ新聞社から発行された「殺人者はオーロラを見た」に「・・その頁だけをゼロックスで複写してもらい・・四月二十三日の夕刊に乗った記事をゼロックスして来たものです・・」と記載されている。会社名でもあるためゼロックス・コーポレーションで1955年に複写などを対象として商標登録されている。
  「リコピー」。1973年講談社で発行された「名探偵も楽じゃない」に「・・この手紙のリコピーを取り、それをわざと1日遅らせて警察宛に投函する積りだと・・」と記載されている。1978年に㈱リコーで商標登録されている。
  複写についてコピー、ゼロックス、リコピーと使い分けされており、読者も意味を理解できる。それだけ一般に浸透した言葉ということだろう。
 探してみるとまだまだ見つかる。続きは次回に・・。
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