SSブログ

西村京太郎と商品名 弐 終 [西村京太郎]

  さて商品名について、今回もさぐってみたい。
  まずは、「テレホンカード」。1990年講談社で発行された「富士箱根殺人ルート」に「・・化粧室の向いにテレホンカード専用の公衆電話が設置されていたが・・」と記載がある。デザインテレホンカードがNTTカードソリューションで1986年から権利があるようで、1999年に商標登録されている。
  「ポケットベル」。1987年EQ掲載の「西鹿児島駅殺人事件」に「・・ポケットベルがたくさん用意され・・」と記載あり。大井電気株式会社がまさにポケットベルを対象として商標登録している。それなら当然ポケベルも、と思ったが残念ながらみあたらなかった。
  「Iモード」。2000年から女性自身に連載された「愛の伝説 釧路湿原」に「・・女のほうはチャカチャカと携帯のiモードを押し続けている・・」と記載されている。やはりNTTドコモが1999年に商標登録していた。
  「ポラロイド」。写真に関連しては、世界の写真市場を引っ張っていたコダックが経営破綻するという驚きもあったが、1991年光文社で発行された「長崎駅殺人事件」に「・・持ってきたポラロイドカメラで何枚も写真を撮った。・・」と記載がある。1951年に写真機器を対象にして商標登録されており、撮った写真をその場で見られる画期的な写真技術のネーミングは戦後まもなく始まっている。
  「デジタルカメラ」。1995年中央公論連載の「南九州殺人迷路」や1999年オール読物掲載の「阿蘇幻死行」や2004年J.Novels連載の「スーパー隠岐殺人特急」などに記載がある。さすがにデジタルカメラ自体はなかったが「デジタルカメラマガジン」という雑誌を対象とした商標登録は見つかった。デジタルカメラの表現を縮めた「デジカメ」はさすがにないだろうと思ったが以外にも、1999年に三洋電機が商標登録していた。しかしカメラではなく電気カミソリなど電化製品が対象だった。デジカメの表現は西村作品では、1998年に問題小説に連載された「夜行列車の女」や2000年小説新潮連載の「災厄のつばさ121号」や2002年小説現代連載の「十津川警部姫路・千姫殺人事件」や2002年角川ミステリー連載の「十津川警部標的」などに記載されている。デジカメと言われてもすぐわかる。
  「フロッピー」。ソニーが生産を中止するとの新聞記事が見られるなどすでに過去のものとなりつつあるフロッピーだが、便利なデータ保存手段として一世を風靡したことはまぎれもない。1997年オール読物「愛犬殺人事件」では「・・今はたいていフロッピーに記憶させて金庫に保管してありますよ・・」とフロッピーの使用が当然のような表現がされている。1985年に日立製作所が商標登録している。
  「カセットテープ」。1980年別冊小説宝石掲載の「白いスキャンダル」にはカセットテープの表現が見られるが、残念ながら商標登録はされていない。コンパクトカセットでも探してみたが見つからなかった。
  「ボイスレコーダー」。2002年小説推理に連載の「仙台青葉の殺意」に「・・テープを使わない小さなボイスレコーダーである。・・」との記載がある。1990年にカシオが眼鏡や時計を対象にして商標登録しており、タカラトミーが1997年におもちゃなどを対象にして商標登録している。本来の目的と思われる録音器具を対象とした登録はみられなかった。
  「チャット」。1999年週刊小説「雪の石塀小路に死す」に「・・チャットて何なんだ・・インターネット上での会話のことです。・・」と記載されている。当然本来の使い方でも商標登録されているものと思ったら、以外にも1971年に菓子やパンを対象に登録されている。西村作品に記載されたいろいろな商品名は、思わぬ分野で商標登録されたりしている。
  今回まで、西村作品に登場する技術をウンチクを交えて紹介してきた。どのように感じられただろうか。いったんこの辺で幕をおろしてみたい。
  次回からは、範囲を広げて多くの推理小説作家の作品から新たな技術を眺めていきたい。西村先生のように時代をとらえた技術をいち早く取り入れる作家もあれば、全く記載のない先生など、読んでみると面白い。誰が登場するか楽しみにしていただきたい。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0