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西村京太郎と携帯電話 其の2 [西村京太郎]

 前回、1991年に執筆された西村小説の携帯電話は、脇に置くほど大きな代物で、1991年4月にサービスが開始されたムーバではないと推理した。推理ではなくほぼ事実とわかる証拠を提出することがやっとできそうだ。
 1991年6月から11月にかけて小説新潮に連載された「豪華特急トワイライト殺人事件」がそれだ。この小説は十津川警部が休暇をとって直子夫人と北海道から大阪に向けてブルートレインに乗るもので携帯電話が小説の前面に出ているとの設定も楽しめる。
 「・・十津川は苦笑しながらボストンバッグの中に入れておいた携帯電話を取り出した。・・」「・・携帯電話を頼んだとき番号が長いので忘れないためにテープにナンバーを打ってボディーの横に貼り付けて貰ってあったのだ。・・」「・・ソファに携帯電話が転がっているのを見て顔色を変えた。・・」「・・突然横に置いた携帯電話が鳴った。十津川はわしづかみにして耳にあてた。・・」このような記述から、ここで使用される携帯電話はかなり大きいことがわかる。やはり、約630gもの大きな携帯電話とするのが妥当な結論だ。
 同時に分かったことがある。警視庁は、事件の早期解決や捜査情報の迅速な伝達のために十津川警部に貸与したものと思っていた。ところが、十津川警部がプライベートな旅行に携行していることや個人で頼んだような記載があることから、個人で購入したものと考えるのが妥当である。
 車掌が検札した時に「・・社内改札したとき、携帯電話を3つ見た。・・最近は、これをもって旅行する人が増えたなと感心したそうです。・・」とまだ珍しいと感じられる記載がある。
 「・・充電中は電源が切れているから掛からない・・」など詳しい説明もあり、ひょっとして西村先生はこのタイプの携帯電話を利用されていたのでは、と考える。
 この小説だけでも、色々な推理を沸き立たせてくれる。そこが西村作品の魅力だろう。
タグ:携帯電話
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